巡拝お寺ガイド
近見山 宝鐘院 ちかみざん ほうしょういん えんめいじ 第五十四番札所 延命寺
迎える山門は今治城の名残
御詠歌 | くもりなきかがみのえんとながむればのこさずかげをうつすものかな |
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本尊 | 不動明王 |
真言 | のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そはたや うん たらた かんまん |
宗派 | 真言宗豊山派 |
開基 | 行基 |
お寺の歴史・全体像
天平年間(729~748)、行基が不動明王を刻み、今治市の西北にある近見山の頂に七堂伽藍を建立したのが始まりです。平安時代に入り、弘法大師が嵯峨天皇の勅願を受け来錫し、荒れていた寺を再興。近見山円明寺と名付け、その寺名は明治時代になるまで使われた。それまでは五十三番と五十四番は同じ寺名を持っていたのです。大師が来錫してからは寺運を盛り返したが度重なる兵火に焼失。享保12年(1727)には現在の場所に移動しました。明治に入りそれまでの俗称だった延命寺に改称。
文永5年(1268)には、この寺の西谷坊で凝念国師が八宗網要1200余巻を書き上げた話は有名です。境内には不動明王、十二諸尊西国三十三ヶ所の観音様、薬師如来座像、阿弥陀如来像、びんずりさんが祀られているほか、古文書も収蔵され寺の歴史も感じられます。またこの寺では、生国不詳、元禄4年(1691)に四国巡礼中に没した真念法師の道しるべ石も残されています。真念法師は50年余の間に二十数回霊場を巡拝しました。その間、他の巡拝者のために数々の慈善事業を行っており、道しるべ、標石、札所間の里程、善根宿、四国巡礼霊場記事などを手がけました。当時の道しるべは今や少なく、延命寺のものは四国で2番目に古いのではとされています。
お寺について
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銘木つぶらじい
延命寺が当時この地に移ってきた際、植えられた銘木です。目通り3m、高さ20余mにも及びます。
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越智孫兵衛供養塔
江戸時代の庄屋・越智孫兵衛は、農民たちを餓死から救った郷土のヒーローでした。七公三民の厳しい年貢取立てに憂いを感じ、池普請の際に麦粥を竹筒に詰めただけの農民の弁当を役人に見せたという。そのお陰で年貢を六公四民に免下げした。それ以降も農民の生活向上に寄与し、享保の大飢饉の際には、一人の餓死者も出さなかったそうです。そんな彼を偲んで越智孫兵衛供養塔が建立されており、毎年8月7日には盛大な慰霊祭を行っています。
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山門
明治初期の廃藩置県の際には、多くの名城が取り壊されました。この寺の山門は、今治城の一つを譲り受けたものです。総欅造りの立派なたたずまいはひときわ目を引きます。山門をくぐると四季折々の花が咲く境内が広がります。
立ち寄りスポット
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阿方貝塚
愛媛県の弥生前期を代表する貝塚。現在は水田と宅地が広がっているが、海抜約10mの地で、昔は海岸線付近であったと推定されます。おびただしい量の貝塚の他、土器や石器、骨角器など貴重な遺跡も数多く発掘されています。褐色や黒褐色、白みがかった壺や瓶など、暮らしが窺えるものばかりです。
住所 : 愛媛県今治市阿方 TEL : 0898-36-1608
延命寺までのアクセス
今治インターチェンジから国道196号線を大西町方面へ向かい、明徳短大先を右折。県道38号線との交差点を左折し、自動車会館を右折後、直進すると見えてきます。
- 今治インターチェンジからは約5分
- 第五十五番札所の南光坊まで車で約15分
- 延命寺
- 住所 : 愛媛県今治市阿方甲636
TEL : 0898-22-5696
寝坊 : なし
駐車場 : あり(トイレ横・境内まで徒歩1分、100円、30台)
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